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となりの鹿島さん~届かぬ思い編04

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    2021 / 08 / 12
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性行為としては最も初歩的な…と申しますか半ば不当なまでに評価の低い「KISS」という行為。ABCで段階評価していた時代においてもAにあたる、いわば初心者向けというポジションに追いやられている行為。それが「接吻」であります。先程からクドクドと何を申し上げたいかといいますと、キッスという行為は、実は精神面も含めてかなり信頼と繊細さが要求される高度な性行為であるということなのです。鹿島さんは唇が性感帯ということもあり、殊更キスに対して重く捉えている節がございます。その気持ちとは裏腹に、気安くキスを求められる機会が多いのですからたまりません。いわば価値観に反した行為を強要される訳ですから、本来ならば逃げ出してしまってもおかしくない状況なのですが…そろそろ、鹿島さんの中で正当とされる教育に依って植え込まれた価値観に亀裂が入り始めたようです。頭では拒否しなきゃと思っているのに、身体が言うことを聞かない。なによりも、心の深淵より来たるモヤモヤとした欲望のようなものが顔を出し始めて、いままで培ってきた理性や価値観が時々何処かに吹っ飛んでしまっています。ここまでのお話のなかで、幾度かキスシーンの描写が出て参りましたが、キスという行為。実は本業の女性の中にも「情が移る」という理由で避ける方達もいらっしゃるようです。とかく性産業というものは、嬢がタダマンを捧げ始めてしまっては商売あがったりでございます。結局は情が移って本番に突入などという事態がイチバンマズイのです。しかしながら客の男衆ときたら、いかに出し抜いてタダマンにありつこうかと虎視眈々と機会を窺う地獄絵図。あの手この手で嬢をたぶらかし、嬢の情に訴えかけて、上々の結果をもぎ取らんとするチャレンジャーでございます。もし必要以上のサービスにありつこうものならそれはそれでお店との間にトラブルが発生するなどのリスクもあるというのに、何故チャレンジャーは後を絶たないのか。自身のテクニック、魅力に対する挑戦。背徳感とスリル。事情はいろいろございましょうが、お店のルールに則って遊びと割り切って欲しいものです。散々唇を蹂躙され、下着越しとはいえ丹念に秘部を擦り上げられ、すっかりできあがってしまった鹿島さん。媚薬を盛られた時点でもう決着はついたも同然だったのです。全身に力が入らず、ヘナヘナと座り込んでしまった鹿島さんを、お客さんはベッドに寝かせます。大量の汗と荒い呼吸。激しい鼓動。介抱する風を装って、男はメイド服を脱がしていきます。ところが鹿島さん、親切で介抱してくれていると痛恨の勘違い。体は熱くて呼吸も荒くなっていましたので服が窮屈だったというのもあるのでしょうが、これは相当媚薬が効いてしまっているようです。そして何よりも秘部が熱く煮え滾り、挿入を心待ちにしていることを鹿島さん自身が自覚してしまっていることで、事態は男の思うままに進んでいきます。このドキドキと苦しい胸の内は、もしかしたら恋なのかもしれない、と。未だキスに意味と純潔を求めようとするいじらしさを見せる鹿島さんですが、あえなく餌食となってしまうあたりに無常を感じざるを得ません。「キスは好きな相手とだけ」という鹿島さんの中にあった鉄板の価値観が、今はとんでもない弱点となって彼女を苦しめていることに本人もまだ気付いていないようです。キスを許す=好きな相手この価値観が産んだとんでもない怪物は、DQNとヤリチンに執着されている鹿島さんに、更なる混乱をもたらすことになります。図らずとも乙女の部分が顔を覗かせるこの困った状況に、そして薬がもたらした大いなる錯覚から、鹿島さんはいつ逃れられるのでしょうか…