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衝動~第三話 理性と欲望と関係性と~

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    2021 / 07 / 16
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息が苦しい。ものすごい脱力感に襲われ、僕はしゃがみこんでいた。こんなすごい自慰行為は味わったことがない。好きな人が目の前で犯られているというのに、助けもせず…自分がこんな人間だったなんて思ってもみなかった。しかしあの何とも喩えがたい感覚はなんだ…?無力感と怒りと悲しみと愛しさと切なさと心強さが同時に襲ってくるようなあの感覚。更にはその結果、自分が出した精液の量をみて愕然とした。とんでもない量だ。こんなに出るものかと自分でも引いてしまった。床でなかったのは幸いだった。何とか砂をかけてごまかせそうだ。「あ…」突然後ろから、聞きたかったのに聞きたくない声が聞こえた。「先…輩…」「な、なにしてんのー?こんなトコで…?」「えっと、あの…」平静でいられるはずがない。顔が引きつり、ものすごい熱をもっている。汗が前髪を伝って地面に落ちるのがわかるほどだ。「…ふーん…」先輩はもともとつぶらな瞳を細めてゆっくりと近づいてくる。落ち着け、平静を装え。先輩は俺の耳元に顔を近づけて、一言「みたんだ」真っ白になっている僕を、先輩は体育倉庫に引きずり込んだ。「ねえ、なんでみちゃったかな…」「い、いえ…見るつもりは…」「でもさ、もうわかったでしょ?おじさんはこういうヤツなのよ」「…」「ま、いつもはあそこまでヤられないんだけどね。今日はさ、なんていうかさ…」急に其方を向いてしまった先輩を見て、急に彼女が弱弱しく思えた。「先輩」僕は思わず先輩の肩をつかんでこちらを向かせる。「やっ…」急に向きを変えられ、それでも見られまいと顔を背ける仕草の中に、彼女の哀しみとやるせなさが込められている気がして、僕の心もざわついた。よくよく考えたらこれは犯罪じゃないのか…?あのクソ野郎…!「待って」僕の心を見透かしたように先輩が制する。「だって、先輩…」「あたしが悪いんだよねー…でさ、こういうのが明らかになってさ、結局困るのはあたしもね、困るんだよね」なんというかうまくまとめられていないような気がするが結局それがすべてなのだろうと思う。「でね、少年」「え、はい…」「こういうのもなんだけどさ、このことは忘れてくんないかなー…?先輩後輩のよしみでさ…」「……」「タダでとはいわないからさ…?」スッと際どい所までスカートをたくしあげ、不敵に笑う北上先輩。「俺、そ、そんなつもりじゃ…」「こういうのはね、ヤれるときにヤっとくものなんだよー?むしろこの場合、共犯者になっちゃった方がおじさん的にもオールオッケーで枕を高くして寝られるんだよねー…」「わ、わかりました…」「でさ、どうする…?手?口?それとも童貞捨てちゃう?ww」余裕ぶっているが、ちょっとヤケッパチになっているのがわかる。本当はこんな状況でこういう関係になりたくなかったけど…でも、断るのもきっと彼女を傷つけてしまうであろうことは、鈍い僕にでも想像がついた。「じゃあ…」してほしいプレイを告げると、先輩は目を丸くして「え、ホントにそれ…?」「(うなずく)おねがいします」「う、うん…それでいいなら…」「…脱いだ方がいい?」「じゃあ、スカートだけ…」「う、うん…パンツは…?」「穿いててください」「う、うん…」僕は…__________________________________________________さて、一部始終を見ていたことを気付かれてしまった後輩君。先輩が出してきた提案は「共犯者」になること。ここでキメるかと思いきや、なんと後輩君は「足コキ」をオーダーします。そうです。足でコイてもらうアレでございます。勿論、挿入してオラオラやって中出しをキメるのも許されたかもしれない環境でございます。しかしそれでは、先程のブタと何ら変わらない畜生の所業で御座いましょう。では手で?口で?それでは今の関係が崩れてしまうような気がしてしまったようで。彼が大切にしたい関係性は、きっと「先輩・後輩」の間柄がベースになっているのでしょう。その末にたどり着いた結論が「足コキ」とはなかなかに見所のある若者でございます。自身の価値を未だ見いだせずにいる北上さんと、不本意な形で思いを遂げる機会を得た不器用な男の純情を描く「衝動」第3話でございます。