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大帝陛下の野望

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    2018 / 12 / 18
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身内だけの内々の話だからと、白黒両陛下と母后陛下、それに永楽さんを集め、しーちゃんがひとつ咳払いをする。始「…薄々は勘づいておろうが、我はこやつと寝た。康熙の婿としてふさわしいか否か、我が直々に検分してくれるなどと、つまらぬ言い訳も用意したが要らぬ世話であった。我は一人の女として抱かれ、こやつもまた一人の男として抱いてくれた。我は…こやつのオンナとなったのじゃ」堂々と、なんら悪びれることなく、しーちゃんが言ってのける。そして、怒り狂うかと心配していた黒陛下も、思いのほか静かに俺としーちゃんを見つめている。下手な嘘でとりつくろわれるくらいなら、本当のことを聞かされたほうがマシなのだろう。始「康熙よ、改めて礼を言おう。そなたは、ほんに良い男を見染めてくれた。我が光輝ある血脈につらなる王統の一員として迎えるにふさわしい、まこと良い男を婿に選んでくれた。真祖として婆として、礼を言うても言い足りぬ」黒「…え?そ、それじゃあ、あの…?」始「うむ、こやつをそなたの婿と認めよう。真祖・秦始皇の詔じゃ。異を唱える者は誰であれ、逆賊として首を刎ねる。何かと支度も整えねばならぬゆえ、今すぐにとはゆくまいが、いずれ吉日を選んで華燭の典を挙げ、帝国こぞってそなたらの婚礼を寿ごう。康熙よ、幸せな花嫁になるがよい…」ぽろぽろぽろと、口を押えた黒陛下の瞳から涙があふれる。もちろん、俺だってそうだ。黒「あ…ありがと、おばあちゃん。あたし、てっきり…こいつ盗られちゃうかもって、それだけが心配で…」始「そう泣くでないわ、可愛い孫娘の恋路を邪魔などするものか。それにそもそも、こやつは我のモノじゃ。我のモノを、どうして我が盗れようか?」……へ?せっかくイイ話っぽい流れだったのに、しーちゃんのあっけらかんとした一言で、全員の目が点になる。始「…話を聞いておらなんだのか?我は、こやつのオンナとなった。すなわち、こやつも我のオトコじゃ。こやつの生殺与奪の権、すべては我が手の内にある。可愛い孫娘が見染めた相手ゆえ、格別の慈悲をもって夫婦の契りを許すと申したまでじゃ。そなたもいずれは歳を重ね、孫子に看取られ天寿をまっとうする日も訪れよう。こやつの手を取り、二人で過ごした年月を走馬灯のごとく思い返して、安らかに天に召されよう。そして、そうなったならば…我はこやつを連れて、蓬莱の仙峡へと帰る。仙丹により若返らせて我と同じゅう不老不死とし、いついつまでもとこしえに、二人仲むつまじゅう水入らずで暮らす。こやつとならば、新たにまたひとつ王朝を建てるというのも一興やもしれぬ。なに、せいぜいが数十年の辛抱じゃ。二千年に比ぶれば何ほどのこともない。…よいか、康熙?こやつはあくまで、我のモノじゃ。そなたには、しばらく預けておくにすぎぬ。ゆめゆめそれを忘れることなく、くれぐれも大事に扱うのじゃぞ?」その後どういうコトになったのか、俺の口からはちょっと言えない。ただ、あの母后陛下がいつになく興奮して『すっげー!あのクソババアの顔に一発入れやがったぜ!?さすがあたしの娘だ!!』と小踊りしていたとだけ、記しておく。・・・・・・・・・・・・・・プルルルルル、プルルルルル♪ラ「うにゃむにゃ…な~によ~、こんな時間に~?…はあ?不老不死んなる方法?知らないわよ、そんなもんっ!そんなの、そっちのおばあちゃんにでも聞けばいいでしょ?あっちはプロなんだから…って、あれ?切っちめーやんの、なんだアイツ!?…ああもう、寝よ寝よ、寝直そっと」