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兄さんとお兄ちゃん

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    2019 / 02 / 24
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イ「ここが、明日から通う教室か~」転入の手続きを済ませて、見学がてらイクちゃんと、放課後の誰もいない教室を訪れた。うん、初〇部にはアルちゃんとレオンちゃんも通ってるから、校内で分からないことがあったらなんでも聞くといいよ。学食は初〇部も中〇部も同じはずだから、一緒にお昼ごはん食べるのもいいんじゃないかな?イ「ふふっ、すっかり世話焼きなお兄ちゃんね。…あ、言い忘れてたけど、これからは…『お兄ちゃん』って呼んでも、いい?」ああ、ぜんぜんかまわないけど…確か、俺のことは『兄さん』って呼んでたんじゃ?イ「うん、実はね、中〇に上がるまでは、私…『お兄ちゃん』って呼んでたの。だけど、小〇校最後の夏休みのある日、お兄ちゃん旅行の打ち合わせとかで友達何人も連れてきてて、私が『いらっしゃいませ~!お兄ちゃん、ジュース持ってきたよ~♡』って言ったら…『イク、おまえも来年は中〇生なんだし、恥ずかしいから『お兄ちゃん』はやめてくれよ』って…。たぶん、友達の手前、照れ臭かっただけなんだと思うけど、私、すごいショックで…もうちょっとでジュース載せたお盆、ひっくり返しそうになっちゃって。口では『あ、あはは。そうだよね~。さすがにちょっと、ガキっぽかったよね~』とか強がってみせたけど、その晩は眠れなくて、ずっと布団の中で泣いてたの…」…おい、異世界の俺。てめえ、顔見せたらブン殴るぞ!?照れ臭いくらいで妹泣かしてんじゃねえ、ボケ!!イ「だから、それ以来、『お兄ちゃん』って呼ばないようにしよう、『兄さん』って呼ぶようにしようって、自分で自分に言い聞かせてたんだ。…へへっ、バカみたいだよね。呼び方なんかどうでも、兄妹であることに変わりなんかないのにね…」無理に微笑んでみせるイクちゃんを、たまらずぎゅっと抱きしめた。…ごめんな、可愛い妹泣かしちゃって。俺、変なとこで見栄っぱりだからさ。でも、お兄ちゃんでいいよ。お兄ちゃんは、ここに居る。今は、俺が…イクちゃんの『お兄ちゃん』だから。イ「…ば、バカ!どこの世界に、妹にちゃん付けするお兄ちゃんがいるのよ!?このロリコンっ!!…『イク』って呼び捨てにしてよね!ほんと、バカなお兄ちゃん…」ああ~。今まで居なかったけど、妹って…イイよなあ。なんかもう、ロリコンになりそう♡(今さら)イ「お兄ちゃん?心の声、口からダダ漏れだからね?あと、お兄ちゃん、もうコレ以上ロリコンになりようがないからね?ベッドの下に隠してたツルペタ同人誌でヌいてるコト、妹に気づかれてないとでも思ったの?お母さんが掃除のとき、きちんと机の上に積み上げてたヤツ、素知らぬ顔してまた元通りベッドの下に戻してあげてたの…私なんだからね?」し…知りたくなかった、衝撃の事実。…あれ?だとすると、イクが居ないウチの実家では、誰が戻してたんだ?…いや、深く考えるのはやめよう。とてつもなく恐ろしい結論にたどり着きそうな気がする。イ「まあ、男の子の頭の中が99%性欲なんてのは、兄を持つ妹なら誰でも直面する過酷な現実だし、別にナンとも思ってないよ?むしろ、お兄ちゃんが私のコトそーゆー目で見ててくれるんだとしたら、ある意味すっごく嬉しいし、それに、ちょっぴり誇らしいかな?だって私を、ちゃんと一人前のオンナと認めてくれてるってコトだもんね♡あっちの兄さん、そーゆーコトに関しては、ほんっと意気地無しでヘタレだったから…」…あ、あはははは。イクはホントにお兄ちゃんっ子だなあ(汗)。でも、あっちの俺とこっちの俺。同じ俺なのに、やっぱりちょっと違うモノなのか?イ「うん。だって、こっちのお兄ちゃんのほうが、優しいし、ワガママ言っても怒らないし、甘えてもウザがらないし、ちょっとおだてたらホイホイ言うこと聞いてくれるし、もうチョロくて最高だよ♡ただまあ、あっちに比べて、ちょっとエッチだし、とってもドスケベだし、すっごく変態だし、むちゃくちゃ絶倫だし、ロリコンで、尻フェチで、NTR趣味で、救いようのない性的嗜好の持ち主っていうのが…うん、短所といえば短所かな?まあ、良いトコ悪いトコ、合わせてトントンということで♡」うんうん、よく俺のコト分かってるじゃないか。さすが妹だ。…お兄ちゃん今、心の中で号泣してるよ。イ「ラムセスさん、だっけ?あの人から言われたんだけど、私みたいなドリフターが世界に定着するには、その世界との関係性…いわゆる『キズナ』みたいなモノが鍵になるんだって。『世界とどれだけ深い関係性を構築できるかで、時空のゆらぎを固定する事象アンカーが強化される』とかナンとか、難しい魔法の呪文みたいな説明してくれて、正直サッパリ分からなかったけど、要は『お兄ちゃんのコトが大好きなら、いつまでもずっと一緒に居られる♡』ってコトらしいの。だから、お兄ちゃん。いつまでもずっと、私のこと好きでいてね?大切にして可愛がってね?そしたら私、もうどこにも行かない!ずっとずっと、お兄ちゃんと一緒に居られる!!…お願いよ?お兄ちゃん♡」まかせとけ!イクは俺の妹だ、俺の大切な家族なんだ。俺も黒陛下もみんな、イクのことが大好きなんだ。イ「うん、そうだね…私たち、家族だもんね♡新しいお姉ちゃんができたことも、嬉しかったなあ。だって皇帝陛下なのに、会ったこともない私のために、あんなに本気で怒ってくれて…泣いてくれて。『ごめんね、あなたの知らないうちに、お兄さんと恋人になっちゃって。でも、あたし、あなたの分までお兄さんを幸せに…ううん!兄妹まとめて幸せにするっ!!あたし、こう見えても皇帝陛下だからっ!この帝国では出来ないコトなんてナニもないからっ!いつまでも、大好きなお兄さんと一緒に居ていいんだよ?あたしにとっても、大切な妹なんだよ!?もう、どこにも行っちゃダメなんだよっ!!』なんて…言ってくれて。…あ、あはは。お兄ちゃんも苦労するよね。あんな、直情型で涙もろい人が恋人だなんて。しかも、皇帝陛下だなんて。あ~あ、この帝国、ホントに大丈夫なの~?」うん、できればソレについては、聞かないでくれ。俺もなるべく、考えないように日々努力してるんだ…。